一言一話 41

アメリカ映画の脚本家のインタビュー集である『バックストーリー』という本から。

 

フォークナーとの共同作業

 

ホークスの『三つ数えろ』はウィリアム・フォークナーリー・ブラケット、ジュールス・ファースマンの三人の協同脚本となっているが、ブラケットはフォークナーとの最初の出会いをこう語っている。

 

 最初にスタジオに行った日には、私はすっかり縮み上がってました。私は三年ばかりパルプ小説を書いていましたが、ここにいるのは偉大で輝かしい文学者の一人であるウィリアム・フォークナーです、どうやって一緒に仕事をすればいいのだろう? つまり、自分のなにを差しだせばいいのだろう? この問題はすぐに解決しました。オフィスに入っていったとき、『大いなる眠り』を手にしたフォークナーが出てきて、本を置くとこう言いました、「どう仕事をするか決めよう。別々の部分を担当するんだ。ぼくはこれだけの章をするから、君は残りをしてくれ」と。そして、その通りに進みました。彼は自分のオフィスに戻っていき、それっきり彼を見ることはありませんでした。きわめて簡単な共同作業だったわけです。私は彼が仕事をしているところを一度も見ませんでしたし、彼にしても同じことです。それぞれできあがったものをホークスに渡しただけです。

 

ハードボイルド・・・