2022-01-19から1日間の記事一覧

奇妙な雰囲気――一尾直樹『心中天使』(2010年)

心中天使 [DVD] 尾野真千子 Amazon といってもそんな場面は4,5回しか出てこないのだが、この映画を見て屋上が好きだったことを思い出した。要するに世界の生の断片を切り取って、ゆったりと周遊するような映画である。なにも事件が起きないと文句を言うの…

よろずの紙反故 46

妄想の坂を転がるガラス玉 もの申す口を探して遠州に くろがねの妄執もらす耳中人 もろ肌を脱いだ裏地は申文 天の原亡者の騒ぐ夏祭り

一言一話 150

下村亮一『晩年の露伴』から。 八百善 食物のことになると、八百膳の話はよく出た。昭和になって、銀座に浜作が出来ると、ときたま出向いたが、矢張り、料理のことになると、八百善のことになった。八百善の主人がものした、料理の本があるといっていたが、…

レイモンド・ウィリアムズ『マルクス主義と文学』 5

最初の実質的な問題は「文明」に向かう姿勢である。ここにマルクス主義の決定的な介入があって、「市民社会」と「文明」という語に含まれるものは、特殊歴史的な形で、つまり、資本主義的生産様式によってつくりだされたブルジョア社会として分析されるべき…

ブラッドリー『論理学』 12

[なぜなら、最初は精神は観念を持たない。19-20] §19.私は魂のより低次の形式、あるいはなんらかの形式が単純な感覚の把持だけに制限されていると言おうとしているのではない。魂が与えられたものになにもつけ加えず観念化もしない受動的な容器だ…