一言一話 112

 

 

ポー 異常なものと奇妙なもの

これまでどのように言われてきているにせよ、彼の人工性と異常性とへの嗜好は、彼の分析の意志を上まわっていた。この人物が「偶然」を愛しながらも表現における偶然は認めようとしなかったのだという点が、世にあまりよく理解されていないらしいのである。もう何年も前のことだが、ポール・ヴァレリー氏が、会話の中で、彼が<<異常なもの>>と呼ぶものと<<奇妙なもの>>と呼ぶものとの間にもっともらしい区別を立ててみようとしたことがあったのを私は覚えている。彼の眼には前者のみが善いものとして映っていたのであり、ポーのことは、もちろん、この部類に入れていたのである。その他の者たち──たとえばジャリ──について、彼らはことさらに他人に自分の奇人ぶりをひけらかすといって、非難していた。

分析というなら、それこそヴァレリーでもかまわないのだが、異常性はヴァレリーには欠けていた。