歩いても歩いても

 

 

寝惚先生文集・狂歌才蔵集・四方のあか (新 日本古典文学大系)

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鬼貫句選・独ごと (岩波文庫)

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歩いても歩いても [DVD]

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いしだあゆみ ベストアルバム ~ブルー・ライト・ヨコハマ~ EJS-6131

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 鬼貫の好きな句に、 

  春の水ところどころに見みゆる哉

がある。考えてみると、紀友則の、百人一首にも選ばれている

  久かたのひかりのどけきはるの日にしづ心なく花のちるらん

の一首が、小学生のときに百人一首をおぼえさせられたこともあって、私の春に対する情調を形づくっているようにも思える。

 一番好きなのは、大田南畝狂歌

  生酔の礼者を見れば大道を横すぢかひに春はきにけり

である。礼者(れいしゃ)は新年の挨拶に回っている人のこと。

 

 是枝裕和の『歩いても歩いても』(2007年)を見る。少年のときに事故で死んだ長男の命日に、もう大人になって結婚もしている姉弟(YOU、阿部寛)が家族を引き連れて、実家に集まる。父親(原田芳雄)は町医者だが、年齢のためにすでに引退している。母親は樹木希林。姉の一家はこの実家に移り住むことを期待しており、弟は子連れの女性(夏川結衣)と結婚したところで、まだ子供がなついているとは言えない。父親は昔風で、なかなか自分が言いたいことを正直に言えず、母親は死んだ長男のことがいまだに忘れられない。

 

 特に感動を押しつけることもなく、結局親子はお互いにわかり合ったとは言えないままに別れてしまうのだが、やはり是枝映画の家族ものは苦手である。是枝監督がどうというより、小津安二郎からホーム・ドラマはどうも苦手で、なんでしょうこれは。

 

 しかし、『歩いても歩いても』がいしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』から来ているというのはうまくて唸りました。

 

 

 内田魯庵は明治22年にすでにスイフトを論じている。そのなかで、ヒュームがスイフトを評価しなかった、ということがでていて、そうだったっけとちょっと意外に思った。引用されているヒュームの書簡を句読点を補ってあげると、

 

卿がスウヰフトを偏愛するは余の常に笑う所なり。元より一種の体なれば、是を嘉せざるにあらねど、毫も感嘆する事能はず。スウヰフトの文には調和せる装飾なし。流麗にあらず、正確にあらず、若し英国文学にして既に野蛮の区域を照したれば、此著者の作を古文学の高位に置くべからず。

 

 

とある。