ブラッドリー『仮象と実在』 17

      (その他の内容との関連は理解しがたい。)

 

 我々が明らかにした矛盾にこれ以上関わっていても得るところはないだろう。一度原理を把握してしまえば、読者自身で細目をたどることができる。補足的な難点に進むことにしよう。空の空間--空間以上のなんらかの性質(視覚的あるいは筋肉的な)のない空間--は非実在的な抽象である。それ自身どんな意味をもつこともできないので、存在すると言うことはできない。なにがあるのか理解しようとしても、見いだされるのは常に広がりという性質だけである(第一章参照)。もしそうなら、この性質と広がりがどのような関係にあるかは解きがたい問題である。「固有のもの」だというのは、既に見たように(第二章)原則的に理解不能である。ここまでに止め、次に時間について考えることにしよう。この章では、時間の分離と連続性から生じる難点に限定することにしよう。変化については、後の章で触れることがあるだろう。