ブラッドリー『仮象と実在』 59

  第十一章 現象主義

 

      (更なる帰結。)

 

 このように、世界の多様な内容を統一に導こうとする我々の試みは失敗に終わった。我々が見いだすことのできた集合体は、事物であれ自己であれ批判に耐えうるものではないことがわかった。そして、あらわれているものはどこかで一つでなければならず、この統一は現象のうちには発見されないということになると、実在は我々とは異なった世界に追いやられてしまう。我々は仮象と実在を分離する寸前まで追いやられている。恐らく既に異なった二つの半球を予期してさえいる--一つは我々には知られていない実在の領域で、他方が我々が知る単なる仮象の領域である。しかし、その段階にまで至る前に、まったく手前勝手で自分の便宜のためではあるが、予想される別の選択について少々述べてみようと思う。