一言一話 36
嗚咽と交流
嗚咽は、打ち破られた交流を意味している。交流──内的交流の優しさ──が、死、別離、あるいは不和によって破られたときに、私は、自分の中に、この引き裂きの中に、嗚咽のあまり日常的でない優しさが広がってゆくのを感じる。とはいえこの嗚咽の優しさは、これに先だつ交流の優しさとは大きく異なる。確固と成立した交流においては、<魅力>は、習慣によって無化されている。嗚咽における魅力は、電気コードをコンセントから引き抜いたときに生じる火花に似ている。まさしく交流が破られるからこそ、われわれは、涙を流しているときに、悲劇的な仕方で、この魅力を享受するのである。
「電気コードをコンセントから引き抜いたときに生じる火花」というのが勇逸な比喩。