一言一話 88

 

身体と形態

 生命進化の一時期を私たちは安定した眺めに集中して、それを形態とよぶ。そうして、変化がいちじるしくすすんで知覚のおめでたい惰性をやぶるほどになると、私たちは身体が形態をかえたという。しかし真相は、身体はたえず形態をかえている。あるいはむしろ、形態は動かぬものであり事象そのままは運動なのだから、形態なるものはない。形態の連続変化こそ事象的なものである。形態とは移行をスナップにとったものにすぎぬ。

ヘラクレイトスの世界のように、われわれはゆるゆると変化している。