一言一話 120
視覚を優先する中世の料理
食物に対する中世の基本的な姿勢を一瞥することはまた、聖餐の礼拝のある種の側面を理解する助けともなる。料理の歴史家が最近明らかにしているように、中世に特徴的な食事とは祝宴であり、美食的な食事よりもより美的で、社会的な出来事だった。祝宴はあらゆる意味でごちそうと言えるものだった。実際、食物は、ほとんど、味覚以外の感覚を思うままに満足させるための言いわけでしかなかった。祝宴を描いた中世の年代記は、そこで提供された楽しみについては惜しみなく注意を払っているのだが、料理のメニューは載せていない。料理の外見を書いてはいても、味を書いてはいない。もちろん、式次第もない。中世の料理書を見ると明らかだが、中世の夕食では、視覚的効果の方が味よりも重要であり、鮮やかな色(たとえば、ほうれん草やリーキの緑や金や銀の葉っぱの装飾物)はしばしば味を犠牲にしてまであてがわれた。ある宴会では、食事のあいだに出されるたくさんの練り粉でこしらえたもの、場面、人形芝居(英語でsoteltiesと呼ばれる偽物の料理)などは食べるためにつくられたものなのかどうか見分けがたかった。魚からつくる偽物の肉、生きて見えるように羽毛を背後に縫い付けたローストした鶏、生きた鶏をなかに入れて焼き上げたパイ(童謡にあるように)など、中世の料理書はどのように眼に錯覚を与え、ごまかすかについて詳細な説明をしている。
なんでこの本を読んだのかまるで記憶がない。