トマス・ド・クインシー

トマス・ド・クインシー『スタイル』7

だがなぜであろうか。このどこにでも共通で、我々が見るところではごく当然に思える欠点から国を挙げて免れている原因は、免れているという事実と同じくらい我々の注意を引く。この欠点とは、想像するに、二つの条件があるときに避けがたい。第一に性急さで…

トマス・ド・クインシー『スタイル』6

だが、多分こうしたことすべてを示すには、英国のスタイルを我々の最も重要な隣国であるフランスとドイツのスタイルと並べてみることがいいだろう。文明の主導者であり、知的な意味において<力>があるということになれば、ヨーロッパには三つの国しかない…

トマス・ド・クインシー『スタイル』5

話し言葉の純粋な活き活きとした言葉づかいや日常的な英語は、あまり本に影響を受けていない教養ある女性に求められるべきだと我々は主張した。どんな言語においても、書物が話し言葉のスタイルとは異なる言葉づかいに向おうとするのは確かである。そこで、…

トマス・ド・クインシー『スタイル』4

名前をつけるときのように、言葉の使用において殆んどの階級は両極端の圧力の間にある。一方には、粗雑、不注意、不完全さがあり、他方には見せかけの洗練と途方もない野心がある。作家は、どんな言葉を使うにしても、常に危険な立場にある。名声欲から、あ…

トマス・ド・クインシー『スタイル』3

英国人が、他の点では楽しみ、評価するスタイルの長所を無効にする二つの力を示してみよう。アテネとローマの市民をレトリックの力と言葉の魔術にかくも敏感にさせたのはなんだったのか。それはレトリックと言葉の魔術が毎日使われ、市民自身に関心のあるこ…

トマス・ド・クインシー『スタイル』2

この一般的な傾向は多くの仕方で働いている。しかし我々の直接の目的であるスタイルに関わるものである。こうした公準を実際に実行できる国とて他にはないが、より決定的な国民の心性は本の<実質>を最高の<性質>とするだけでなく、それらは異なったもの…

トマス・ド・クインシー『スタイル』1

【ド・クインシーはご存じ難しい英語で、正確さは保証しません。翻案程度にお考えください。】 第一部 英国に生まれた恩恵についてのつきることのない議論——数多くあるというより重々しくされる議論で、その数よりも重みについて語られるpondere quam numero…