ブラッドリー『仮象と実在』 116

    ... [その肯定的な面と否定的な面。]

 

 この問題の難点は大部分が曖昧さから来ている。「これ」と「私のもの」は双方とも肯定的な面と否定的な面がある。どちらも単一の実在であり、ある意味、排他的な性格を有している。この性格から性急な結論が下される。しかし、単一の実在とは結局のところ単一のものでも、自律的なものでもあり得ない。排他的な性格は全体のなかに包含され吸収されてしまうだろう。こうした問題が我々が明らかにし、論じるよう努めねばならぬ問題である。肯定的な側面から始めよう。