ブラッドリー『仮象と実在』 83

 ... (真理とはなにか。)

 

 真理は思考の対象であり、真理の目的は存在を観念的に性質づけることにある。つまり、実在に安定した性格を与えることにある。真理はそうした内容の述語化であり、述語化は調和をもたらし、不整合と不安定とを取り除く。所与の実在は決して整合性のあるものではないので、思考は無際限の拡張の道を取らざるを得ない。もし思考が成功するなら、整合性のある述語をもち、それが完全に主語と一致するだろう。他方、述語は常に観念的なものでなければならない。つまり、「そのもの」と一体ではない「何」であり、それ自体においては存在を欠いたものでなければならない。それゆえ、思考においてこの隔たりが補われない限り、思考は単なる観念以上のものになることは決してあり得ない。