一言一話 154

 

固有の自我という幻影

 我々が自らのものだとしている魂(自己)は幻影である。「自我−心理学」に対する精神分析の真の貢献は、自我はのみ下され、取り込まれた世界の外部にある小片、あるいはむしろ我々が飲み込んでいると、そのつもりで主張している世界の外部にある小片である。人固有の自己の核は、自己に組み込まれた他者である。

自意識まではわかるが、自我は自分では本当にわからない。流動的というか、靄のように立ちこめている。