2021-09-21 一言一話 57 思想 テクスト理論の愉しみ―1965‐1970 (ロラン・バルト著作集 6) 作者:ロラン バルト みすず書房 Amazon 象徴不能症 象徴不能症とは、わたしが意味の完全な免除と呼ぶものに到達するために、ある文明や社会において行われる非常に局限された努力のことである。それは構造の点からして、不条理とはいかなる関係もない。不条理あるいは不条理性はひとつの意味であり、まさしく不条理という意味なのである。意味の免除は、それと比べれば限りなく実現するのが難しい意味の状態である。一種の意味の空虚、というかむしろ、空虚として感じられ、読まれる意味なのだが、不条理はそうではない。 『表徴の帝国』で皇居を見出したときの狂喜の源泉がある。