一言一話 72

 

老年

記憶によって整序され構造化されうるようになると(これは非常に若いうちにも起こりうる)、実存はただちに運命となり、しかもまさにそのことによって終りを告げる。というのも、運命は前過去以外に活用することは決してありえないからだ。運命は閉ざされた時間なのである。老年は人生を運命に変える視線であって、人生を本質に変えるが、しかし老年はもはや人生ではない。

バルトのサルトル的側面がよくあらわれた文章。