トマス・ド・クインシー『自叙伝』15

 私が書いたことの次の日、医者の一団が脳と病気の特殊な性質を調査するために来た。というのも、症状の幾つかの点で困惑させられるほどの異常があったからである。余所者たちが引き上げて一時間後、私は再び部屋に忍んでいった。しかし、扉はいまは閉ざされており、鍵は取り去られていた。————そして私は永久に閉め出されたのである。


 それから葬儀になった。私は会葬者として脇にやられた。知らない紳士数人と馬車に乗せられた。彼らは親切で私に思いやりを示してくれた。しかし、当然のことながら、彼らは姉とは関係のないことを話し、その会話は私には苦痛だった。教会で、私は眼に白いハンカチを当てるように言われた。くだらない偽善。なにを言われても心が死んでいるにとって必要な仮面や形式は何だというのか。教会での務めの間中、私はそこに留まるよう努力していた。しかし、私はひっきりなしに自分の孤独な暗闇の中に沈み込み、英国では葬式の時にいつも読まれる聖パウロの崇高な章からの束の間の歌(1)以外は意識的に聞くものとて殆どなかった。

*1

*1:1.コリント人への第一の手紙十五章二十節の始め。