2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ケネス・バーク『宗教の修辞学』 2

1 一般的語とロゴスとしての語について 我々は一般的な「語」(低次)と、大文字の「語」(ロゴス、賢者の一言)とのアナロジーに関心をもっている。「一般的な語」はまず、自然主義的な、経験に基づいた指示物をもっている。しかし、類推によってより高次…

ブラッドリー『仮象と実在』 192

[善とはなにか。] 我々は一般的に、欲望を満足させるものとして善について語る。それは我々が是認し、満足の情をもって休らうことができる。あるいは、お望みなら、価値と同じものとして語ることもできる。それはまた、我々が真理に見いだす要素も含まれて…

一言一話 96

物の体系: 記号の消費 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ジャン ボードリヤール 法政大学出版局 Amazon 物の分化に反比例する人間の行為の分化 習慣になっているいくつかの行為が役に立たないこと、身体の操作に基づく日常生活のリズムの切断からは、深い心理・…

ケネス・バーク『宗教の修辞学』1

【『宗教の修辞学』はおそらく3分の2程度しか訳していない。中盤からアウグスティヌスの徹底的なクローズド・リーディングになり、あまり訳している意味を見いだせなくなったからである。前半部は面白い。】 序 神学とロゴロジーについて 「神学」を「神に…

ブラッドリー『仮象と実在』 191

第二十五章 善 [善と悪とその程度は、幻影ではないが、いまだ現象である。] 前の章で、私は、簡単にではあるが、悪の存在は、絶対に対する反論の根拠をもたらすわけではないことを示そうとしてきた。悪と善は幻影ではないが、現象であるのはほぼ確かである…

一言一話 95

シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス) 作者:ジャン ボードリヤール 法政大学出版局 Amazon 獣 無意識と領土 獣には無意識がない、というのは、それらには領土があるからだ。人間に無意識が生まれたのは領土を失ってからのことだ。領土と…

ケネス・バーク『動機の修辞学』 69

... 9.究極的同一化 『宗教的経験の諸相』の神秘主義の章で、ウィリアム・ジェイムズは神秘的な高揚という稀な瞬間を証言し、神秘的状況を記述しようとした数多くの記事を広く引用している。この本を終わるに当たり、そこから抜粋し、つみ取ったものを並べ…

ブラッドリー『仮象と実在』 190

[存在の必然性、どのような意味においてか。] 存在は実在ではなく、実在は存在しなければならない。この真理はどちらも全体を理解するのに本質的であり、最終的にはそれぞれが必然的に他方を含むことになる。別の言葉で言えば、存在は実在のあらわれのひと…

一言一話 94

シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス) 作者:ジャン ボードリヤール 法政大学出版局 Amazon 原子力発電所がつくりだす危険 原子力発電所がつくり出す本当の危険は、安全性の欠如とか公害とか爆発などではなく、それをとりまいて放射状に…

ケネス・バーク『動機の修辞学』 68

... 8.撞着語法の原理 行為者と場面を含み、言語を越えた場も存在する。だが、文学の学徒として我々は、詩人が一貫してあることを語るときに、諸感覚に訴えるだけでなく、「神秘的解釈」そして/或いは「社会神秘的解釈」によって輝きと共鳴を引きだすよう…

ブラッドリー『仮象と実在』 189

[その偽物の形。] しかし、そうした事例をより注意深く考えると、それがまがい物であることは明らかである。というのも、(a)第一に、観念的内容は内部から動くことはないからである。自ら存在を通じて完成を求めることはないし、内的な必然性がそれを意味…

一言一話 93

史談 切り捨て御免 (文春文庫) 作者:海音寺 潮五郎 文藝春秋 Amazon 思想と人 思想は人によって生きるとしかぼくには思えない。殺人者も、泥棒も、詐欺漢も、聖人のことばを口にすることができる。しかし、キリストのことばはキリストの口から出たからこそ、…

ケネス・バーク『動機の修辞学』 67

... 8.撞着語法の原理 行為者と場面を含み、言語を越えた場も存在する。だが、文学の学徒として我々は、詩人が一貫してあることを語るときに、諸感覚に訴えるだけでなく、「神秘的解釈」そして/或いは「社会神秘的解釈」によって輝きと共鳴を引きだすよう…

ブラッドリー『仮象と実在』 188

[存在論的な証明、その失敗と正当性。] 最後に簡単に「存在論的な」証明について考え、この問題に光を投げかけることにしよう。第十四章で、我々はそこから生じるひとつの意味合いだけしか扱えなかったが、ここではその一般的な真理を評価するよう努めてみ…

一言一話 92

The Freudian Subject 作者:Borch-Jacobsen, Mikkel Stanford University Press Amazon 欲望と同一化 欲望(欲望する主体)は最初に来るのではなく、欲望が充足することを許す同一化に<続いて>やってくる。始めにくるのは同一化への傾向、欲望を生じさせる原…

ケネス・バーク『動機の修辞学』 66

... 7.エリオット:初期の詩と「四重奏」 エリオットの場合、反対の方向が認められ、範囲も狭いが、考察と議論には十分である。つまり、詩人は、「登攀の有効範囲」としては希薄であったイメージを後により豊かな意味合いで使うようになった。それを示すた…

ブラッドリー『仮象と実在』 187

[可能性の程度。] このことから我々は、可能性と偶然性に程度が存在するかどうかを問うべく仕向けられるが、この問いに対する我々の答えは、肯定的なものでなければならない。多かれ少なかれ可能的なもの、多かれ少なかれ真であるもの、内的に必然的である…