2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

よろずの紙反故 34

神々の内意を聞いたヘロドトス 内閣は角砂糖の如く水に溶け 海街で夏の日ばかりがないがしろ 謝肉祭刃物をもった内儀たち 冬の朝心療内科の義眼かな

一言一話 148

英国の世紀末 作者:富士川 義之 新書館 Amazon 『地獄の黙示録』と『金枝篇』 コッポラはこの暗い映画で、豊穣祭祀、すなわち殺される神という神話的類型をまことに巧妙に利用している。そのことを明確に示唆する短い画面がある。寺院内部をウィラードの視線…

C・S・パース「科学の論理について」 4

2.非心理学的観点に第二の利点は、それが問題についての間違った考えを論破するのにもっとも便利な手段として役立つことがある。ミル氏の論理学の定義を例にとってみよう。「それは、証明の評価を助ける悟性の働きについての科学である。」この定義の心理…

ブラッドリー『仮象と実在』 244

[あらゆるあらわれには実在が存在するが、異なった程度でだ、というのが哲学の最後の言葉である。] 最終的に、実在は計り知れないものであることを見いだすにはほとんど手間がかかることはない。実在ではないどんなあらわれもある意味で誤りがあることを見…

よろずの紙反故 33

夢のなか太神楽には名美の足 人入れの太閤が見るポチョムキン わたくしが対岸に見る私たち 大寒に造物主が水浴びし 絵の端の橋で尋ねる君の名は

一言一話 147

古代人と夢 (平凡社ライブラリー) 作者:西郷 信綱 平凡社 Amazon 古代人にとっての夢 フロイトやユング以後の現代人は夢を、意識の底に沈んだ欲望や衝動、あるいは集団無意識のあらわれと考える。この考えが学問的に妥当であるかどうかは難しい問題で、私に…

C・S・パース「科学の理論について」 3

こうした主張は極端な場合、間違いよりも悪いものとなる。論理は悟性の働き、精神の行為、知性についての諸事実などとはまったく関係がない。このことはカント派たちによって繰り返し示されてきた。しかし、私は更に一歩進み、論理学について完全に非心理学…

ブラッドリー『仮象と実在』 243

[間違いと錯覚。] すべてが間違いであるがすべてが幻影ではない。我々の観念が実在と同一ではない限り、それは誤りである。その相違が我々の本性において衝突を起こす限りにおいて、それは幻影である。内的なものであれ外的なものであれ、経験が我々の見解…

よろずの紙反故 32

軟膏の大家が描く抽象画 目の玉を対価にしたる赤い犬 河童忌に退校したる山嵐 マネキンの体型づくりのアカデミー 大学の天井をゆく贋学生

一言一話 146

幕末奇談 (中公文庫) 作者:子母澤 寛 中央公論新社 Amazon 船に酔わない法 爾来、船に酔わない法という奴を、いろいろ調べて見てるんですが、新しいのは別として、先頃ひょっこり眼についた文化七年版の「旅行用心集」というのを見て、こいつには思わず、頭…

C・S・パース「科学の論理について」 2

第一の問題は次の順で考えられる。 第一に、論理の概念。 第二に、アリストテレスから発達した帰納の理論、これは私がより好むものである。 第三に、現代の理論家、ブール、アペルト、ハーシェル、グラトリー、ウェーウェル、ミルについての研究。 第四に、…

ブラッドリー『仮象と実在』 242

[我々の結論は極端を調停し、全体的な自然だけをとる。] 我々が到達した結論は、単なる妥協ではなく、極端なものを調停することだと私は信じる。それがリアリズムと呼ばれるのか観念論と呼ばれるのか私にはわからないが、探求に際して気にしたことはない。…

よろずの紙反故 31

秋の日に題詠をする閹人や バイブルを大要したる地底人 大恩を受けたる君のささくれよ 大音で雅楽を流すマジックミラー 与太郎が大音声で老子読み

一言一話 145

汚れた顔の天使 ジェームズ・キャグニー自伝 作者:ジェームズ・キャグニー,山田宏一 出帆新社 Amazon アステアが語ったこと 「芸術って、なんのことだ?」と彼は言った。「芸術ってのは、わたしの足だ。それは、ただただ、きびしい労働だ。訓練だ。わたしは…

C・S・パース「科学の論理について」 1

講義 I MS 94:1865年 2-3月 私はあなた方の注意を古代の三学――些末なtrivialの語源であり、長い偏見にさらされてきた研究分野であるが――のうちのひとつに向けることをお願いするが、いま現在それをつまらないものであるという非難から守る必要…

ブラッドリー『仮象と実在』 241

[真理と実在の関係。] 私が述べようとしている教義は至って簡単なものである。真理は経験の一側面であり、それゆえそれが含むことができないものによって不完全になり制限される。それが絶対的なものである限り、しかしながら、それが真にも実在にもなり得…

よろずの紙反故 30

鉄筆で書きたる本は題未定 プルースト大意をすると十二文字 学頭が退院したる鈴ヶ森 太陰にストリッパーをめとりたり 性愛の大雨が降る熱気球

一言一話 144

汚れた顔の天使 ジェームズ・キャグニー自伝 作者:ジェームズ・キャグニー,山田宏一 出帆新社 Amazon バカバカしさ わたしにとって、ショービジネスの本質は、変化であり、であり、そして、もうひとつ、非常に忘れられやすく、ほとんど話題にされない要素だ…

C・S・パース「形而上学的————Odi Profanum Vulgus————1862年3月30日」

弁証法の不十分さ 1.弁証法家の立場 第一章は形而上学の真の観念の発達をたどろうとした。概念の三幅対、それらを総合することが不可能であることは、当然のことながら、形而上学の三つの本質的な学派を生みだす。ドグマ的、心理学的、論理的学派である。…

ブラッドリー『仮象と実在』 240

[最終的には、絶対的な真理でさえ真ではなく、特異性は残る。] 上述した区別を再検証するときがきた。我々はある知識は絶対であり、それとは対称的に、すべての有限な真理は条件的でしかないことを見いだした。しかし、このことをより密接に検証すると、こ…

よろずの紙反故 29

客人が4ターレルで首を狩り 大振り子体をかわして釘を打ち 高架下台の上には旭日旗 霧の旗大谷崎の卍かな 鏡台でホックを外す六代目

一言一話 143

汚れた顔の天使 ジェームズ・キャグニー自伝 作者:ジェームズ・キャグニー,山田宏一 出帆新社 Amazon パイ投げ 【ハンクとスナップはチャップリン一座の脇役であった。】当然ながら、ハンクとスナップは、そこでパイ投げシーンを展開したのである。パイ投げ…

C・S・パース「/形而上学についての論考/」 2

2.形而上学の基本的な区別について 通常、あらゆる形而上学はある根本的な区別に基づいていると認め、あるいは仮定されている。形而上学の新たな体系のすべては、ある特殊な区別に基づいている点でそれぞれ固有の長所をもっているのは事実である。私の体系…

ブラッドリー『仮象と実在』 239

[有限な知識は力において様々であり、変更しうる。] 有限な真理は、すべて未知のものに依存しなければならないので、条件的である。しかし、この未知のものは――読者はここで心得ておかねばならないが――単なる相関的なものである。それ自体絶対的な知識に従…