2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラッドリー『論理学』 8

[実践的推論でもない。15] §15.長らく生気を失っていたが、頑強に場所を塞いでいた教義を反駁することから代わって、最新の誤り、判断と実践的な信念との混同について考えることにする。私はいかなる心的な活動がどれだけベイン教授の理論と整合性を…

よろずの紙反故 41

梅雨の日や二階から見るエロ動画 拝謁の座にはもちのいいあわび 池の辺を配下と歩く日比谷かな 拝賀する南画の先に湯の煙 俳諧の座に二オンスの青い空

一言一話 155

下村亮一『晩年の露伴』から。 露伴 浮かし燗 露伴の自宅での酒の燗は、露伴流といってもよいもので、少量の酒を銚子に入れ、それを人肌の燗で、長い時間を、同じ温度で楽しむという、きわめて贅沢で、家人泣かせのものであった。いうところの「浮かし燗」と…

C・S・パース「科学の論理について」 10

この不完全なデータについての考察は、根本的な観察へと我々を導く。つまり、いかに我々は帰納をなし得るかという問題は、いかに我々は根拠をもって一般的な言明をなし得るかという問題とまったく同じものである。というのも、そうした言明は帰納によるかあ…

ブラッドリー『論理学』 7

[間違った考え方の批判。判断は「連合」ではない。13-14] II.§13.判断についての誤った理論は自然に二つの種類に分けられ、一つは主語、述語、繋辞に対する迷信によって理論が損われるもので、他方は別の欠点による。二番目のものを最初に取り上…

よろずの紙反故 40

秋の暮れ羽蟻のとまる枯れすすき クレールの肺に咲きたる蓮の花 盃に海を注ぎて波を足し 倍にして半分に割る数学者 虚の膜を破水でいずる名女優

一言一話 154

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 固有の自我という幻影 我々が自らのものだとしている魂(自己)は幻影である。「自我−心理学」に対する精神分析の真の貢献は、自我はのみ下され、取り込まれた世界の外部にある小片、あるいは…

C・S・パース「科学の論理について」 9

この例では、草食動物はもっとも広がりがあるあるいは大前提であり、牛と鹿は小前提であり、蹄の分かれたは中前提であって、アリストテレスの定義を例示する助けとなろう。そして、我々の帰納的推論は、述語としてある大前提から中前提を通じて小前提を論じ…

ブラッドリー『論理学』 6

[誤りの反駁。11-12] §11.こうした判断の記述において、我々が同時に気がつく二つの点がある。読者は、我々が<一つの>観念、あるいは観念内容をもつ判断について語り、主語と繋辞についてはなんの言及もしていないことを認めるだろう。一方、も…

よろずの紙反故 39

橋場町刃先の欠けた残侠の日 外科室のオリーブオイルに蝶の羽 山の端が欠けたる夏の夜の月 街角の田宮二郎の気の派生 幔幕や坑道へ行く際の常

一言一話 153

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 魂=性器の専制 魂はマネキン、分身、影、あるいは反映である。魂は「自我の複製」、「自我のナルシシスティックな分身」である。本来の自我は身体−自我であり、身体を通して拡散する(多形性…

C・S・パース「科学の論理について」 8

講義 II MS 95:1865年2月-3月 論理学そのものを適切に考える学の論理を理解する方法にある大きな困難を成功裏に乗り越えたと思うので、あらゆる科学的推論の根底にある基本的過程を発見することに進もう。この問題は必然的に無味乾燥で抽象的…

ブラッドリー『論理学』 5

[判断の定義。10] §10.我々は論理的観念ということでなにを理解するべきか知ったので、以下の論述を先取りして、判断がそれをもってなにをするかについて簡単に独断的に述べてみよう。我々は、できる限り、心理学的形而上学的難点を避けなければなら…

よろずの紙反故 38

イギリスで名うての馬鹿と褒められて 日が暮れてのれんの夜の前橋の刻 長雨や蛙飛び込む頭山 葉本から葉先へたどるニトロかな ホワイトノイズの強迫観念の歯

一言一話 152

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 仮面と人格 アタナシウス信条の込み入ったドラマツルギーは古い物語−−神の人間への化身(あるいは再生)のドラマ−−の新たな解釈である。ここに主張されていると思われるのは、役者の役割への神…

C・S・パース「科学の論理について」 7

ついでに言っておけば、シンボル的な性質がもともとあるものなら、それはより写しに近く、そうしたシンボルの例としては概念や心的なシンボル同様、ヒエログラフ、幾何学的シンボル、エンブレム、比喩などである。他方、シンボルの性質が獲得されたものなら…

ブラッドリー『論理学』 4

[判断において観念は意味である。9] §9.こうした事実の逆説的な影であり幽霊であるのが、我々が観念なしに判断なしというときの観念である。先に進む前に、叙述において我々は心的な事実は<用いず>、意味だけを使うことを簡単に示してみよう。しかし…

なにも言えないと言ってもいけない――ジェイソン・ウィリアム・リー『インサニティ』(2015年)

インサニティ [DVD] ディヴィット・アビューサフィ Amazon エンドレス・エクソシズム ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray] シェイ・ミッチェル Amazon 『エンドレス・エクソシズム』を見ていたら、なかなか快調な出だしで、特にホラー映画が大好きで、なかでもエ…

よろずの紙反故 37

卍型耳と口との内密さ 桜桃忌引き出し増やす内務省 風船が空に固まる内乱よ 脳蓋を外してでたる参観日 嚢中に二千の球を携えり

一言一話 151

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon [翻訳本を買った覚えがないので、自分で訳したような気がする。] 夢と死 眠ること。死ぬこと。眠りは死の双子の兄弟である。「眠りは夢によって攪拌される死であり、死は夢のない眠りである…

C・S・パース『科学の論理について』 6

第二の種類の真理は、これまでの慣習に従った記号の外示である。たとえば、子どもの名前は、洗礼の慣習に従い、その人物を指している。記号が複数のものを指すこともあり得るが、それらが示す各対象は慣習によって固定されておらねばならないので、真の一般…

ブラッドリー『論理学』 3

[「観念」の二つの意味。6-8] §7.観念のこうした二つの用法、シンボルとシンボル化されたもの、イメージとその意味は、もちろん、我々のすべてに知られたものである。しかし、私がこの明らかな区別にこだわる理由は、我々の思考の多くの部分において…

よろずの紙反故 36

うららかな内情のあるゴンドラよ 釘を刺す内職の日には告解し 晴天の荒野ばかりの内地かな 王様に内通したる神の使途 明礬を内服してもむくむだけ

一言一話 150

ノーマン・ブラウン『エロスとタナトス』から。 スピノザとフロイト フロイトとは異なるスピノザが洞察しえなかったことは「多くのことに適合する肉体」を得る努力とは、幼児の肉体の復元であるということである。スピノザの「多くのことに適合する肉体」と…

C・S・パース『科学の論理について』 6

第二の種類の真理は、これまでの慣習に従った記号の外示である。たとえば、子どもの名前は、洗礼の慣習に従い、その人物を指している。記号が複数のものを指すこともあり得るが、それらが示す各対象は慣習によって固定されておらねばならないので、真の一般…

ブラッドリー『論理学』 2

[記号とはなにか。4-6] 4.論理学的目的に関しては、観念はシンボルであり、シンボル以外のなにものでもない。(4)これ以上進む前に、新味のない恐れはあるが、シンボルがなにかについて述べてみなければならない。 *1 あらゆるものにおいて、我々は…

よろずの紙反故 35

内外を裏返しにする枯れた花 血痕の数を数える内見よ ありなしか乃至はなしのありかはなしか 内実をきりでつついてぽんと割り ぐしょ濡れの内心だけがやや乾き

一言一話 149

ノーマン・ブラウン『エロスとタナトス』から。 スピノザの神とフロイト スピノザの体系の神は<<自然の総合体>>である。彼は愛を快楽として、外的原因(快楽の源泉)という考えとともに、満足は愛する対象の存在にあるという意味で、愛するものとの総合…

C・S・パース『科学の論理について』 5

科学の非心理学的概念を採用する幾つかの理由が挙げられたので、この概念を十分に明確なものとし、論理の定義に役立てることとしよう。この目的のためには、ロゴスを抽象的なものから具体的なものへ、絶対的なものから従属的なものにしなければならない。絶…

ブラッドリー『論理学』 1

第一巻 判断 第一章 判断の一般的性質 [判断とはなにか。観念を含み、観念は記号である。1-3] 1.論理学を研究し始める前に、どこから始めるべきか知ることは不可能である。研究しおえた後にも、不確実性は残る。一般的な順序などないのであるから、判…