俳句
ブロンズの騎士はあかざの奥に住み 楊貴妃やマダムのつける明石玉 夜が明けて黎明の夜になりぬれば 赤土で瞳を覆うオルフェウス 贖いは亀甲縛り夏日かな
時止まり銅だけが腐食して ますらおが赤貝を割る春の夜 赤蛙胎内回帰の蛇の穴 雨が降るあがく明美は球体に ちはやぶる赤毛の彼の蘇り
赤葦毛バカラに興じ一人勝ち 赤蟻が密集する満州よ 赤犬が自身の尾を追う北半球 松濤の最後の晩餐赤いもの芽 赤鰯頭のほうから腐りゆき
減菌室オウム返しを消す白さかな 初春やステレオ仕様のオウム石 堀之内風にしだれる亜鉛の実 赤赤赤赤赤赤に虹を混ぜ 鉱石のうねりのなかに閼伽を置き
青侍奥義の果てはクジラ割り 球体に鶯宿梅の枯れ木立 来客のオウムのごときバランスよ 港町阿吽の息で温めて 糸たぐりオウムガイからでるデメーテル
あいなめを並べるザルの青々と 抜けた歯でこよりをつくるアイヌの子 亡き人の愛別離苦のゴンドラよ 曖昧に刀を交わす敵討ち 哀憐を固ゆでにして凍らせて
愛染の隠し扉で息止める君 愛憎の柵を越えたる虎の子よ 横須賀や愛想づかしの青海波 竹籠のあいだる君を抱擁し 憎しみもあいつのなかの四錐体
ご時世に直立する鮎の塩 釜のない不毛な愛の転轍機 あいと答えよ踏みにじられた蝉の抜け殻 愛嬌の時代のついた青頭巾 灰色の斜め左右のお愛想 陶片の小さな神にご挨拶 人形をマルチーヌと呼び愛子とし 愛執の柵を越えたる獅子の影 玉水や愛する君の髪先に 愛…
創造的進化 (岩波文庫 青 645-1) 作者:アンリ・ベルクソン 岩波書店 Amazon 生物の意識 生物の意識とは潜勢的な活動と現実の活動との算術的な差であると定義してよいであろう。意識は表象と行動とのあいだのへだたりの尺度である。 人間と特定していないのが…
記号の国―1970 (ロラン・バルト著作集 7) 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 俳句 俳句は、描写も定義もしない(結局、わたしが俳句とよぶのは、不連続な描線すべてのことであり、わたしの読みに提供されるような日本の生活のできごとすべてのことである…
記号の国―1970 (ロラン・バルト著作集 7) 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 俳句 古池やの句 蛙が水にとびこむ音が芭蕉を禅の真理に目ざめさせたのだと言われるとき、つぎのように理解することができる(このような言いかたは、まだまだ西欧的すぎるの…
春之部 大旦むかし咲きにし松の風 大旦「おほあした」と読み、元日のこと。旦は太陽がはじめてのぼる早朝を意味するから、一年の最初の特別な朝のことを特に大旦といった。松の黄色い粒々を花として見ていたのだろうか。松は、盆栽で好まれるとともに、松風…
包む (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:幸田 文 発売日: 1994/04/28 メディア: 文庫 二郎は鮨の夢を見る メディア: Prime Video 鬼貫句選・独ごと (岩波文庫) 作者:上島 鬼貫 発売日: 2010/07/17 メディア: 文庫 ・幸田文は堅い柄、縦縞、横縞や、…
芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) 作者:松尾 芭蕉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/11/16 メディア: 文庫 師匠や仲間に迷惑をかけることを恐れたのか、保美に蟄居していた杜国にはほとんど句は残っていないが、杜国という号を捨て、野人…
芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) 作者:松尾 芭蕉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/11/16 メディア: 文庫 また、『野ざらし紀行』の貞享五年冬の句、 市人にいでこれ売らん雪の笠 この句は、『野ざらし紀行』では「市人よ此笠うらふ雪の…
芭蕉七部集 (岩波文庫 黄 206-4) 作者:松尾 芭蕉,中村 俊定 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1966/03/16 メディア: 文庫 芭蕉と杜国と白芥子との因縁はこれだけではない。貞享四年十月二十五日から翌年、五年四月中旬までの旅を記した『笈の小文』では既…
芭蕉七部集 (岩波文庫 黄 206-4) 作者:松尾 芭蕉,中村 俊定 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1966/03/16 メディア: 文庫 完本 風狂始末―芭蕉連句評釈 (ちくま学芸文庫) 作者:安東 次男 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2005/03 メディア: 文庫 白芥子…
芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) 作者:松尾 芭蕉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/11/16 メディア: 文庫 ここからこの句に対する露伴の本論がはじまる。先に挙げた加藤楸邨の評釈に明らかなように、「白芥子」の句は、次の句、「牡丹蘂…
芭蕉語彙 (1984年) 作者:宇田 零雨 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 1984/02 メディア: - 幸田成友著作集〈第1巻〉近世経済史篇 (1972年) 作者:幸田 成友 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1972 メディア: - 8 『白芥子句考』は、この句が何年に、ど…
芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) 作者:松尾 芭蕉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/11/16 メディア: 文庫 芭蕉俳句新講〈下巻〉 (1951年) 作者:潁原 退蔵,松尾 芭蕉 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1951/08/10 メディア: 単行本 芭…
6 坪内逍遙宛ての書簡で賞賛し、晩年には『七部集』と呼ばれる、芭蕉門弟たちの連句、発句を集めたものの評釈にかかり切りになったことからも、露伴の芭蕉に対する敬愛の念はほぼ生涯を一貫して変わらなかったと思われるのだが、以前から私にとって疑問に思…
寝惚先生文集・狂歌才蔵集・四方のあか (新 日本古典文学大系) 作者: 中野三敏,揖斐高,日野龍夫,大田南畝 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1993/07/28 メディア: ハードカバー 購入: 2人 クリック: 4回 この商品を含むブログを見る 鬼貫句選・独ごと (岩…
諸々の事情があって痩せることを考えざるを得なかった。考えてみればずいぶん前のことなので、当てにはならないことだったことがわかるのだが、わりと簡単に半年くらいで十数キロ落としたことが成功体験として記憶されているせいか、いつでも落とせるという…
西東三鬼全句集 (角川ソフィア文庫) 作者: 西東三鬼 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/12/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る わたしが読んだことのある西東三鬼の句集は『今日』一冊で、文学全集に収録されているのを読んだ。あとは同じ…
虚子の読み方 作者: 仁平勝 出版社/メーカー: 沖積舎 発売日: 2010/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 虚子についてはごく表面的な知識しかもっていない。だが、明治以降の俳人のなかでは好感をもっていて、「流れ行く大根の葉の早さか…
万太郎の一句 作者: 小澤實 出版社/メーカー: ふらんす堂 発売日: 2016/11/01 メディア: オンデマンド (ペーパーバック) この商品を含むブログを見る 巻末の小論で、「淡雪のつもるつもりや砂の上」という句をあげ、小澤實は次のように言う。 「句を読みおろ…
幸堂得知は万延元年(1860年)江戸下谷車坂町に生まれ、大正二年(1913年)根岸に没している。劇評家として活躍した人で、江戸芝居についてもっとも詳しい人物の一人として知られていた。饗庭篁村、森田思軒、須藤南翠、幸田露伴らが参加した「根岸…
俳の山なみ 粋で洒脱な風流人帖 作者: 加藤郁乎 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2009/07/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る もし色々な面でより余裕があったなら、そしてもっと大事なことだが、わたしの俳句に対する情熱がずっと強い…
芭蕉俳句集 (岩波文庫) 作者: 松尾芭蕉,中村俊定 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1970/03 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 10回 この商品を含むブログ (6件) を見る 蕉門名家句選〈上〉 (岩波文庫) 作者: 堀切実 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: …
こでまり抄―久保田万太郎句集 (ふらんす堂文庫) 作者: 久保田万太郎,成瀬桜桃子 出版社/メーカー: ふらんす堂 発売日: 1991/10/01 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 17回 この商品を含むブログ (16件) を見る 久保田万太郎は、もっぱら東京下町の情緒を描…