2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧
だが、この基本的な仮定のもと、言語の使用について更なる探求を、個別の特殊な方法で企てることができる。現実を示す方法としての言語は論理学として研究される。現実へ接近する断片としての言語、特にものを書くときの決った形式は、その形式上の「外的な…
[それは精神において扱われる最初の普遍に由来する。24-26] §24.英国では、「経験の哲学」の真理の伝統に忠実なあまり偏見が積み重ねられ、ほとんど事実に対する訴えかけが無効になっているのではないかと私は恐れる。しかし、私はいかに無益なこ…
輻のなかの尺取り虫の住みどころ 初春や灸(やいと)を我慢する季節 陥穽の刃をくぐる六代目 素浪人焼畑模様の着流しで 名月や夜陰に影を落とすもの
Reading for the Plot: Design and Intention in Narrative (English Edition) 作者:Brooks, Peter Knopf Amazon 始まりと終わり 隠喩の換喩的操作による実現としてのプロット 始まりと終わりはトドロフの「叙述的変換」の好例であり、そこでは始まりと終わ…
2.言語 言語の定義とは、常に、明示的にも暗黙のうちにも、世界における人間存在の定義である。主要なカテゴリーとして受け入れられているもの――「世界」、「現実」、「自然」、「人間」――は「言語」というカテゴリーと対置され、関係づけられるが、いまで…
[もし連合説が正しいなら、判断は決してあらわれることができない。23] §23.我々が述べてきたことは、心理学的な移行を順を追って述べることではなく、諸段階と諸機能の違いを明らかにすることだった。最後に、我々は致命的ともなる誤りを未然に防ぐ…
孟春に餅のかわりにバナナ喰い 花見客毛氈だけのわが領土 禅僧は孟宗竹で漸悟して 頭巾干す灰色の家は旗日なり 矢の先に果実の汁をそっと塗り
下村亮一『晩年の露伴』から。 吸物料理二つ 「くわえという奴は、あのままではそれほどうまいものではないが、これをすりつぶして、揚げ物にするんだ。そして、これを吸物に入れて供すると、このくわえの味を、すぐ何だと当てる人はまずいないほど、独特の…
しかし、この達成のなかにも難点がある。本質的なものとして社会的過程を強調することは、進歩的単線的な発達と関連する、根強く残っている合理主義の一種、社会の「科学的法則」を発見しようとする傾向の一変種だと性質づけられる。それは本質的な部分を弱…
[判断の始まりに必要とされる条件。21-22] §21.観念が知識の対象となり、真と偽が判断に入り込んでいく過程を段階をおって詳細に述べることは困難であろう。この困難さの他に、常に生じる事実に関わる問題がある。ある発達の段階があるとき、判断…
心中天使 [DVD] 尾野真千子 Amazon といってもそんな場面は4,5回しか出てこないのだが、この映画を見て屋上が好きだったことを思い出した。要するに世界の生の断片を切り取って、ゆったりと周遊するような映画である。なにも事件が起きないと文句を言うの…
妄想の坂を転がるガラス玉 もの申す口を探して遠州に くろがねの妄執もらす耳中人 もろ肌を脱いだ裏地は申文 天の原亡者の騒ぐ夏祭り
下村亮一『晩年の露伴』から。 八百善 食物のことになると、八百膳の話はよく出た。昭和になって、銀座に浜作が出来ると、ときたま出向いたが、矢張り、料理のことになると、八百善のことになった。八百善の主人がものした、料理の本があるといっていたが、…
最初の実質的な問題は「文明」に向かう姿勢である。ここにマルクス主義の決定的な介入があって、「市民社会」と「文明」という語に含まれるものは、特殊歴史的な形で、つまり、資本主義的生産様式によってつくりだされたブルジョア社会として分析されるべき…
[なぜなら、最初は精神は観念を持たない。19-20] §19.私は魂のより低次の形式、あるいはなんらかの形式が単純な感覚の把持だけに制限されていると言おうとしているのではない。魂が与えられたものになにもつけ加えず観念化もしない受動的な容器だ…
眉刷毛を性具にしたるヴィシュヌ神 きぬぎぬに埋没したる岸惠子 鳴神やマイルをワットに変えたりき 猛悪な蒸気機関のパンクたち みだりがましく妄語を発す漢詩人
下村亮一『晩年の露伴』から。 露伴の句 露伴の句の中に、「ああ降ったる雪かな 詩かな 酒もかな」というのがある。 詩が酒とともにある。
実践においては常に二つの発達の間にある種の関係がもたれているが、その強調点は非常に異なっている。この第二の意味の始まりには、「文明」という語がもつ、ある種の完成された状態と発達の完成された状態という両義性がかかわっている。この完成された状…
[判断の発達。それは遅くなってからの産物である。18] III.§18.我々は判断について予備的な考察をし、いくつかの誤った考え方を取り除こうと努めた。ここでは三番目の仕事として、この機能の発達について述べなければならない。既に明らかにした…
琴柱眉毛とT字に重なりて 昧爽に首を出したる緑亀 武蔵野に埋葬される回教徒 売僧から赤チンひと瓶買いにけり 死神に六根清浄と声をかけ
下村亮一『晩年の露伴』から。 香を見つける 露伴は、「香」を見つける一番の早道で、しかも金のかからない方法を伝授してくれた。 「散歩に出るとき、一つの目標をもつんだね。たとえば道路わきのドブの中に、電柱の朽ちて埋もれているようなのを見つけたら…
「文明」と「文化」(特に初期において共通する「耕作」という形では)は結局十八世紀後半までは交換可能な言葉だった。両者は共に、完成された国家と発達の完成型である国家という問題のある二重の意味を伝えた。結果として生じた分岐にはいくつかの原因が…
[これまでも間違いに含まれていた真実。17] §17.我々はこうして前述の教義の間違いを見てきた。それらがもつ主要な真実を考えるのはより喜ばしい仕事である。(i)§13で我々が批判し始めた見解は、主語、述語、賓辞の誤りを避けている。その見解は…
イヴォンヌが宝石の瑕疵捜しおり 初春や逢魔が刻の杉木立 水たまり間合いをはかるピンヒール 月光の漏れる井戸辺で皿九枚 ひとり寝に手ぬぐいだけを枚挙して
下村亮一『晩年の露伴』から。 支那文学 「支那文学を正しく評価しない者が、支那を誇大な表現をもちいる国だとか何だとかいうのは、まことに困りものだね。何といっても支那は文字の国だよ、表現も厳格だし、そんな誇大な、だらしないものではないんだ」(…
広範囲にわたる歴史的発達の文脈においてみると、「文化」という概念は、限定的な他のあらゆる概念に対して強い圧力を及ぼしている。それが常にこの概念の利点である。また、定義と理解双方において常に困難の源ともなっている。十八世紀までは、それはまだ…
[単なる接合でも観念の等式でもない。16] §16.(ii)ここで最初の誤りを終え、次の誤りのグループを考えることとしよう。それらは共通の欠点、判断においては一組の観念があるという誤った考えに苦しんでいる。我々はこの錯覚を§11で扱い、以下の…
血圧を媒介したる春の海 晩秋に廃学したる黒縄師 親方は配合の酒にあけら顔 寝台は肺肝に沼の心地かな 拝顔を床下でする雪の朝
下村亮一『晩年の露伴』から。 『雪たたき』 この小説のあらすじも、長くなるから割愛するが、『史籍集覧』の畠山記の中にある、「雪タタキノ事」という項は、わずか千字にみたぬ短い文章で、それに当時の歴史的事実をさまざまに織りなして書いたものである…
【これも多分三分の一くらい。】 I.基礎概念 1.文化 現代の思考と実践の主要な領域のちょうど中心にあるものとして常に記されているのは「文化」という概念であり、様々な変化と複雑化を経ることで、論点としてだけでなくその発達を通じて直面してきた諸…