ブラッドリー

ブラッドリー『論理学』 2

[記号とはなにか。4-6] 4.論理学的目的に関しては、観念はシンボルであり、シンボル以外のなにものでもない。(4)これ以上進む前に、新味のない恐れはあるが、シンボルがなにかについて述べてみなければならない。 *1 あらゆるものにおいて、我々は…

ブラッドリー『論理学』 1

第一巻 判断 第一章 判断の一般的性質 [判断とはなにか。観念を含み、観念は記号である。1-3] 1.論理学を研究し始める前に、どこから始めるべきか知ることは不可能である。研究しおえた後にも、不確実性は残る。一般的な順序などないのであるから、判…

ブラッドリー『仮象と実在』 244

[あらゆるあらわれには実在が存在するが、異なった程度でだ、というのが哲学の最後の言葉である。] 最終的に、実在は計り知れないものであることを見いだすにはほとんど手間がかかることはない。実在ではないどんなあらわれもある意味で誤りがあることを見…

ブラッドリー『仮象と実在』 243

[間違いと錯覚。] すべてが間違いであるがすべてが幻影ではない。我々の観念が実在と同一ではない限り、それは誤りである。その相違が我々の本性において衝突を起こす限りにおいて、それは幻影である。内的なものであれ外的なものであれ、経験が我々の見解…

ブラッドリー『仮象と実在』 242

[我々の結論は極端を調停し、全体的な自然だけをとる。] 我々が到達した結論は、単なる妥協ではなく、極端なものを調停することだと私は信じる。それがリアリズムと呼ばれるのか観念論と呼ばれるのか私にはわからないが、探求に際して気にしたことはない。…

ブラッドリー『仮象と実在』 241

[真理と実在の関係。] 私が述べようとしている教義は至って簡単なものである。真理は経験の一側面であり、それゆえそれが含むことができないものによって不完全になり制限される。それが絶対的なものである限り、しかしながら、それが真にも実在にもなり得…

ブラッドリー『仮象と実在』 240

[最終的には、絶対的な真理でさえ真ではなく、特異性は残る。] 上述した区別を再検証するときがきた。我々はある知識は絶対であり、それとは対称的に、すべての有限な真理は条件的でしかないことを見いだした。しかし、このことをより密接に検証すると、こ…

ブラッドリー『仮象と実在』 239

[有限な知識は力において様々であり、変更しうる。] 有限な真理は、すべて未知のものに依存しなければならないので、条件的である。しかし、この未知のものは――読者はここで心得ておかねばならないが――単なる相関的なものである。それ自体絶対的な知識に従…

ブラッドリー『仮象と実在』 238

[有限な知識はすべて条件づけられている。] すでに述べてように、ある真理が観察に基づいているところではどこでも、明らかにどれだけのものが見逃されているか、観察されていないものが事物の大部分になるのかどうか見極めることはできない。しかし、もし…

ブラッドリー『仮象と実在』 237

[知識は条件づけられているか絶対かで、そうしたものは不可能である。] しかし、我々はこれによって、絶対的な知識と仮定的な知識との境界線を渡ることになった。実在はそれ自体にあらゆる経験を含むひとつの体系であり、この体系そのものが経験である――そ…

ブラッドリー『仮象と実在』 236

[絶対を幸福であるといえるだろうか。] 我々は実在がひとつであり、単一の経験であることを見てきた。我々はこのことから困難な問題を考慮することに移ることができる。絶対は幸福であろうか。これは快楽が絶対の述語となりうるかを意味しているだろう。そ…

ブラッドリー『仮象と実在』 235

[絶対はまた(正確には)人格的なものではない。] 絶対は知られてはいるが、ある意味で、我々の経験や知識よりも高次のものである。このことの関連において、私はそれが人格をもっているかどうか問うてみよう。そうした疑問に達したとしても、我々はそれを…

ブラッドリー『仮象と実在』 234

[しかし絶対は(正確に言うと)魂からなるのではない。] 非合理的な偏見からくる反論を離れ、いくつかの興味のある点を考慮することに進もう。絶対は魂から構成され成り立っているといえるだろうか。この疑問は曖昧で、いくつかの意味で議論されねばならな…

ブラッドリー『仮象と実在』 233

[絶対は経験である。] あらゆる疑いを越えて、実在がひとつであることは明らかである。それは統一であるが、問い続けなければならないのは、なにの統一かということである。そして、我々がすでに見いだしているのは、我々が知るすべてのものはすべて経験か…

ブラッドリー『仮象と実在』 232

[このことは絶対にも当てはまる。それは一なるものである。] 絶対の主要な性格についていえば、我々の立場は簡単に言えばこうである。我々の結論は確かであり、それを疑うことは論理的に不可能だということを理解した。そのほかに観点はないし、その見解を…

ブラッドリー『仮象と実在』 231

[可能性と疑いについての予備的な言明。それらは実証的な知識に基づかねばならない。] あらわれの、そしてその特殊な領域の多様性の事実は、説明することができないことを見いだした。なぜあらわれが存在し、なぜ多様なあらわれがあるのかという問題は答え…

ブラッドリー『仮象と実在』 230

第二十七章 究極的な疑問 [我々の結論は可能なのか。] 未熟ではあるが、この作品を終わるときが来た。どれほど、またどういう意味合いで我々は主要な結論を確かなものとして扱う自由をもつだろうかと問うことで結論としよう。我々は実在が一であること、そ…

ブラッドリー『仮象と実在』 229

[死の後の生] この章をこれまでと近しいある問題について少々述べることで終わることにしよう。通常、魂の不死性といわれているもののことである。いくつかの理由からこの話題について私は沈黙を守っていたが、ここでの沈黙は誤解を招くことになるかもしれ…

ブラッドリー『仮象と実在』 228

[進展、絶対にそうしたものがあるか] この最後の発言の真理については議論があるかもしれない。最終的に、また全体として宇宙になんらかの進展は存在するのだろうか。絶対はあるときより別のときのほうがより良かったり悪かったりするのだろうか。進展も衰…

ブラッドリー『仮象と実在』 227

[自然の哲学とはなにか] そうした自然の哲学は、少なくともそれ自体真であるなら、物理科学の領域に入り込むことはできない。というのも、端的に言って、それは全体的に、あらゆる形式において、起源について思弁をすることを慎むだろうからである。どのよ…

ブラッドリー『仮象と実在』 226

[自然における目的――形而上学の問題ではない] このより高次の解釈と自然の結果的な超越は上述したようなもうひとつの論点へと我々を導く。有限な魂において除外され、意志において除外されると、目的は自然において働き、観念性であり、別の意味で言うと、…

ブラッドリー『仮象と実在』 225

[自然、美しく敬慕に値する] 我々の注意を再び自然、あるいは物理的世界に向けよう。観念とは力であり、目的を持ち、そこで動いていると主張されるだろうか。また、自然とは美しく、崇拝の対象となることは可能だろうか。後者について私は最初に考察するこ…

ブラッドリー『仮象と実在』 224

[現象と絶対] 我々はこの章で主として、否定に関わるものを扱ってきた。あらゆるものは現象であり、いかなる現象も、あるいはその組みあわせも実在と等しくはない。これはなかばは真実であるが、それ自体としては危険な間違いである。我々はそれに対応する…

ブラッドリー『仮象と実在』 223

[現象、言葉の意味] 我々の経験のどの側面も、それだけで実在になるものではないことを見てきた。なにものも主要なものではなく、他者や全体を説明する助けになることはできない。それらはすべて現象であり、すべて一面的で、その向こうに去って行く。しか…

ブラッドリー『仮象と実在』 222

[意志の優先は幻覚である] この結論で先へ進むことができるが、その前にいわゆる意志の優先性といわれるものについて一言述べずにはおけないと信じる。第一に、意志が実在であるなら、いかに仮象がその土壌と関連しているか示す責任がある。そして、我々の…

ブラッドリー『仮象と実在』 221

[知りうる限りの宇宙] 全体としての宇宙は知りうるものであるといわれる。完璧な知性によって完全に知りうるものとされる。また、その性格によって取り上げられ、吸収されるので、世界のあらゆる要素は知りうるものである。(2)しかし、宇宙は完全に理解…

ブラッドリー『仮象と実在』 220

[このことを詳細に示す] 我々はこの結果を、世界の他の側面を知性と意志に還元することを提案することで裏づけることができる。詳細にそのことを見るまえに、あらかじめその必然的で主要な欠陥を述べることができる。宇宙のあらゆる特徴が二つの側面にはっ…

ブラッドリー『仮象と実在』 219

[宇宙は思考と意志に還元することはできない] この一般的な結論にあるとき、我々は先に進むことができる。ひとつあるいは二つの特殊な経験の有り様を絶対に還元することは問題ではないことを仮定し 、我々は直ちにその本性と統一の最終的な議論を試みるこ…

ブラッドリー『仮象と実在』 218

[しかし、統一は詳細を知られることはない。最終的な不可解さ] 我々は経験の多様な側面は互いに含みあい、それらを理解し、完璧なものにする統一性を指し示しているのを見てきた。そして、そうした側面の統一は未知のものであることを次に主張するだろう。…

ブラッドリー『仮象と実在』 217

[それぞれが残りを含む] 我々は異なった経験の領域を概観し、それぞれが不完全であることを見いだした。我々は確かに絶対がそれらのうちのひとつであるとはいえない。他方において、それはまたその残余でもないので、不十分で不整合なものと見ることができ…